エンジニアに必要なのは「完璧な敬語」ではなく「論理的な敬意」だった。現場で信頼されるコミュニケーション作法

なぜエンジニアに敬語・マナーが必要か?
「敬語って難しい」と感じている新社会人も先輩社員も、「社会人としてマナーだから」で片付けず、「技術力を正しく価値として届けるため、そしてお互いの手戻りを減らしてプロジェクトを円滑に進めるための道具(スキル)」である事を意識してみてはいかがでしょうか。
エンジニア敬語の「3つの大原則」
- 原則①:結論ファースト(PREP法)が最優先
- 美しくても「何が言いたいか分からない」敬語はNG。
- 丁寧な言葉を「結論」から順に乗せる。
- 原則②:まずは「です・ます」が完璧なら合格
- 過剰なへりくだり(二重敬語など)は不要。
- 等身大のプロとして接する。
- 原則③:主語(誰の動作か)で自動判別する
- 相手の動作 ➔ 尊敬語(~される、おっしゃる)
- 自分の動作 ➔ 謙譲語(~いたす、伺う)
Point:結論・要点例:金型の材料を見直し、不良によるロスを減らすべき。
Reason:理由例:受注量が3割増加したことで、金型の耐久性が不足したため。
Example:事例・具体例例:不具合の概要や、ショット数増加の以前/以後での不良率の変化、費用対効果、それらを裏付ける主要な数字とともに説明。
Point:結論・要点を繰り返す例:つまり、不良によるロスを減らし、受注数に応えるには、それに対応できる金型材料の検討が必要。
現場でそのまま使える「状況別・言い換え逆引きシート」
① 進捗の遅れ・トラブルを伝える(テキスト/口頭共通)
- ❌ Before: 「ちょっと問題が起きて、もしかしたら納期に間に合わないかもしれないです……」
- ⭕ After: 「〇〇の機能実装において予期せぬ不具合が発生いたしました。現在、原因の特定とリカバリー策を検証中ですが、スケジュールに半日の遅れが生じる可能性がございます。本日17時までに確定の状況と対策をご報告いたします。」
- 💡 解説: 曖昧な表現は相手を不安にさせます。「客観的な事実」「現在のステータス」「次の報告タイミング」をセットにするのが信頼される作法です。
② むちゃな要件変更や納期を「断る・調整する」
- ❌ Before: 「その納期は物理的に無理ですね。仕様を削らないと不可能です」
- ⭕ After: 「ご要望ありがとうございます。ただ、現行のスケジュールですと品質保証(テスト)の期間が十分に確保できなくなる恐れがございます。もしよろしければ、〇〇の機能をフェーズ2に延期させていただくか、期日を〇日ほど後ろ倒しにする形ではいかがでしょうか?」
- 💡 解説: まず「クッション言葉(ご要望ありがとうございます)」で受け止め、否定ではなく「代替案の提示」として着地させます。
③ チャット(Slack/Teams)でのテキストコミュニケーション
- ❌ Before: 「〇〇の件、了解ですー。進めときます」(フランクすぎる)
- ⭕ After: 「〇〇の件、承知いたしました。ご指示通り〇〇の仕様で進めさせていただきます。進捗は追ってご連絡いたします。」
- 💡 解説: 身内ノリになりがちなチャットでも、顧客や他部署に対しては「承知いたしました」「~させていただきます」のラインを守ることで、プロとしての境界線を保てます。
言葉遣いは、エンジニアという職人の「道具」の一つです。
「相手の時間を奪わないこと」「相手を不安にさせないこと」それ自体が最大の敬意(マナー)である事を意識して、少しづつ取り入れましょう!