文系と理系のカベをなくそう

今回は「文系と理系」についてお話しします。
文系と理系の学生では、就職活動の手法が多少違ってくるということは皆さんご存知だと思います。
「理系は就職活動がすぐ終わる」という話をよく耳にします。
また、理系は総合職と技術職のどちらかという選択肢もあります。
そんなことを思っていたところ、面白い記事がありました。
理系の学生が就職活動中に「やっぱり文系ってすごい」と思った瞬間です。
・コミュニケーション能力が高い
・質問への回答がうまい
・自信満々
・エントリー数の多さ
・明るい
・英語力の高さ
・バイト経験の豊富さ
・留学経験の多さ
・分厚い本をたくさん読んでいる点
(参照: livedoor NEWS: 理系就活生に聞いた! 就活中に「やっぱり文系ってすごい」と思った瞬間 2017/01/10)
文系の私からすれば、以上であげたことがアピールできないと文系の就活はかなり厳しい、というのが率直な意見なのですが、それでも理系の方から見ると文系はこのように映るようです。
確かに、一般的には理系の学生の方がコミュニケーション能力が低かったり、文系と比べると自信なさげだったりというイメージがあると思います。
とはいえ、理系の学生は、「やっぱり文系ってすごい」で片付けてしまっては非常にもったいないと思います。
そこで、発想転換をしましょう。
理系の学生が、以上であげたような文系の能力―文系力―を身につければワンランク上の人材になれる気がしませんか。
日本でも電機メーカーの経営者の多くはエンジニア出身ですが、現在の日本の電機メーカーにはかつてほどの輝きはありません。
やはり、技術が素晴らしくとも、それだけではビジネスで成功するのは難しいということを示していると思います。
東芝OBである竹内健氏も著書「10年後、生き残る理系の条件」で以下のように述べています。
「経営者になったつもりで広い視野を持つ、開発した製品を利用したサービスを開拓する、開発した製品を広めるために対外的にアピールする、市場を切り開くために自社でできないことは異分野・異業種と協力する……。
このような仕事の多くはどちらかというと、技術者がやるべき本業ではないとみなされていたかもしれません。研究者やエンジニアには苦手意識を持っている人もいるでしょう。
しかし、開発した製品を実用化するためには、できたばかりの技術を理解した上で上記のことをしなければいけないわけですから、技術者自身がやるしかありません。文系・理系と分けることが時代遅れではありますが、いわゆる『文系の仕事』と思われがちなことも、理系の人がやらなければいけないのです。」
このように今後は、理系の能力だけではなく、文系の能力も身につけていくことが理系には求められてくると思います。
では、理系が文系を学ぶ時代に、文系はどうすればいいのでしょうか。
私の先輩に、文系からエンジニア職に新卒で就職した方がいます。
その方に、なぜ文系であり、かつエンジニアリングが未経験であるにもかかわらず、エンジニア職に就職したのですか?と尋ねたところ、
「就職活動をしている時に、理系が文系を学ぶ時代に、文系の私はどうすればいいのか、ついて真剣に考えたんだよね。
そしたら、2つの答えが出たの。
1つは、文系の能力を究めること。コミュニケーション能力とかプレゼンテーション能力で理系に負けないようにすることかな。
もう1つは、文系である私が理系を学ぶこと。単純に、理系が文系を学ぶなら、文系も理系を学べばいいじゃん!って思ったんだよね。こっちの方が圧倒的にしんどいとは思うけど、新しいことを学ぶのってやりがいあるし、何かを始めるのに遅すぎることはないかなって思ったの。」
私は、「理系が文系を学ぶなら、文系も理系を学べばいいじゃん!」という先輩の言葉に衝撃を受けたのを今でも覚えています。
また、これに対しても竹内健氏は、「文系はどうやれば生き残れるのか。答えは明確で、理系が文系力をつけるならば、文系は技術を理解できるようにする。文系の方も、技術を大雑把に理解したり、技術者と会話できることが必要になります。」と述べています。
(参照: BLOGOS: 理系が経営を学ぶ時代に、文系はどうすれば生き残れるのか 2016/01/23)
私があげた先輩のように文系からエンジニア職に就職するというのは非常に極端ではありますが、これから就職活動をしていく皆さんは、理系の方は文系に、文系の方は理系に興味、関心を寄せ、文系と理系のカベをなくしてみることをおすすめします。
それが皆さんの今後のキャリア形成に大きなメリットをもたらしてくれると思います。