ラテラルシンキングのすすめ

皆さんはラテラルシンキングという言葉をご存じでしょうか?

これとは別にロジカルシンキング(論理的思考)というものがありますが、
多くの方にとってはこちら(ロジカルシンキング)の方が馴染み深いかもしれません。

 

ラテラルシンキング(水平思考)とは、既成概念に囚われず多角的な視点から物事を考える思考法と言われており、
思考の幅を広げ、新しいアイディアを得るのに有効な方法だと言われています。
(今年の業務発表会の中でこの「水平思考」について触れていた方もいらっしゃいましたね)

 

 

1つ例として、JRの自動改札機の話を挙げます。

 

今となっては当たり前とも言える、自動改札機でのICカード利用ですが、
当時の開発者の頭を悩ませたのが自動改札機の「処理能力」でした。

 

ICカードをかざした際、自動改札機の中では運賃の計算を行いますが、
複雑な経路での運賃計算の場合などは特に処理が複雑になり、処理時間が大きくなります。

すると処理を行っている間改札が閉じているため人の流れが止まり、
渋滞を起こす原因となってしまいます。

 

普通、論理的(ロジカルシンキング)に考えれば、処理能力が原因で渋滞が起こるのだから、
中のコンピュータのスペックを上げて処理能力を向上するとか、
プログラムの修正を行うなどという方法が真っ先に考え付くかもしれません。

しかし全ての駅の全ての自動改札機のコンピュータのスペックを上げるのは相当なコストがかかりますし、
プログラムの修正で処理速度を改善するというのも限界があります。

 

そこで当時の開発者達は画期的な方法でこの問題を解決しました。
その答えは「自動改札機の距離を長くする」です。

 

 

ICカードをかざしてから改札機の扉までの距離を長くすることで、
処理時間はかかっても人の流れを止めないという方法を考えたのです。

 

この話のポイントとしては、「問題の本質がどこにあるかを見極めた」ということだと思います。

この例の場合、問題は「自動改札機で人が渋滞してしまう」ということであり、
自動改札機の処理に時間がかかるというのは問題の原因ではありますが、本質ではありません。

 

私達は普段、今目の前にある問題にのみ注視してしまうことが多いように思いますが、
そこで壁にぶつかった時、一旦立ち止まって「本当に問題になっていることは何なのか?」
と振り返り、また別の角度から物事を見つめ直すことによって、
新たな解決法が浮かんでくるかもしれません。

 

(出典)
ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門
著者:木村 尚義
あさ出版

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