一両の価値

先日、たまたま見ていたテレビで時代劇が放映されていました。
劇中で悪徳商人が集める千両箱をみて、なんとなく一両の価値が気になりました。そこで、“一両”の価値を考えてみることにします。
「一両」について調べてみると、「一両=小判一枚」のようです。
そこで、小判の貴金属としての価値から一両の価値を算出してみます。
pic_c054検索すると最初に出てきたのが「慶長小判」でしたので、これの価格を算出してみます。

慶長小判は、金の含有率が86.28パーセント、質量が17.76グラムです。(金以外はほぼ銀なのですが、銀の価格は金の1~2%程度なので無視することにします。)直近の相場で換算すると、約7万3千円となりました。

ところが、「慶長小判」ではなく「元禄小判」で算出すると、大きく結果が異なります。

「元禄小判」とは「慶長小判」より少し後に鋳造されていた小判で、質量は慶 長小判と同じであるものの、金の含有率が57.47パーセントしかない小判です。同様に価値を算出すると約4万3千円になります。「一両=小判」なのです が、小判により金の品位がだいぶ異なるため、どの小判を選ぶか(すなわちどの年代を選ぶか)と金相場(ここ4、5年で高騰)で大きく異なります。

別の算出方法を考えてみます。「一両=米1石」とういう関係が江戸時代を通じて維持されていた様です。この関係から算出してみます。

1石=10斗=100升=1,000合です。

ご飯を炊くときは、いまでも1合、2合と米の量を“容積”であらわすことがあります。
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しかし、お米を購入しようとすると近所のスーパーでもネットでも重さが主流のようです。1合の重さを量ってみると、約150グラムでした。とすると、1石の米は150キロということになります。

米といえばコシヒカリ。コシヒカリの価格をAmazonで検索し、最初に表示された商品の価格の平均値を算出してみました。結果は10キロ当たり4200円強でした。1石(=150キロ)の価値は約6万4千円と算出することができました。

少し視点を変えて、武士の給与から算出してみます。

中級武士の給与(知行)は50石程度だったようで、標準的な税率(四公六民)を適用すると手取りは20石になります。

これをサラリーマンの平均年収408万円(2013年度)と比較すると、「20両=20石=408万円」で「1両=約20万円」となりました。米価から算出した値の約3倍です。

 

結果をまとめると
慶長小判から算出:約7万3千円
元禄小判から算出:約4万3千円
米価から算出:約6万4千円
武士とサラリーマンの給与から算出:約20万円
となります。

武士・サラリーマンの給与から算出した結果は、他の3~5倍です。

これは、サラリーマンの生産性の向上は稲作などと比較して5分の1~3分の1しかないともとれます。われわれサラリーマンには、まだまだ生産性向上の余地があるのでしょうか?
蛇足ながら、千両役者というのは文字通り1年間に千両稼ぐ役者だそうです。今回の試算では4,300万~2億円に当たります。うらやましい収入ですね。