技術者としてキャリアに行き詰まらないために

中途採用の面接を数多くやっていると、「キャリアに行き詰まっている」というお話をよく伺う。
現象としては残念ながら珍しくはないのだが、幾つかのパターンが有る。

1.やりたい仕事と、スキルの間にギャップがあり、動けなくなっている
2.今の会社での待遇の向上が見込めないが、年齢やスキルの影響で転職できない。
3.仕事は楽しいのだが、今後どうすればいいのかがわからない。

実際、これらの問題は表面上は異なるのであるが、実質は一つである。
すなわち、「どのように戦略的にキャリアを作っていくか」という話だ。

技術者のキャリアを効率よく作っていくのは非常に難しい。なぜなら技術や求められるものの変化が非常に激しいからだ。
したがって、目の前の仕事をこなすだけになってしまうと、つぎはぎだらけの強みのないキャリアとなり、行き詰まってしまう。

これを打開する方法は、「自分で選択すること」しかない。
つまり技術者という仕事は、自分で仕事をきちんと選んでいなければならない、ということだ。

もちろんこれは、「やりたいことをやれ」といった幼稚な話ではない。
やりたいことをやるのではなく、「目の前にある仕事が、どのように自分のキャリアの強みになるのか、常に意識せよ」という話である。
中には、「なんのためか全くわからない」という仕事もあろう。しかし、考えようによっては「明らかに強みになる」とわかってしまう仕事よりも、なんのためか全くわからないほうが、新しい領域にチャレンジしている分、キャリアにはプラスになるということもある。

ITの技術者は、人類の長い歴史から見れば、ほんの最近出来た職業である。したがって、決まったレールは敷かれていない。常にキャリアを考えることはとても大事だ。