新卒にとって「売り手市場」は良いことばかりではないと先輩が教えてくれた話

今回は就職活動における「売り手市場」についてお話したいと思います。
近年「売り手市場」というキーワードをよく耳にしますよね。売り手市場とは、その名の通り、売り手(就活生)にとって有利な市場ということを意味します。
就職活動について、最近このような記事を目にしました。
就活戦線、18年卒も売り手市場に リクルートキャリア(日本経済新聞 2017/02/15)
この記事を見ると、どうやら18卒も就職活動も売り手市場のようです。とはいえ売り手市場が必ずしも良いとはいえないと思っています。
私が所属していたゼミの教授が、就職活動の売り手市場についてこのように言っていたのを思い出しました。
教授「就職氷河期に就活をした先輩たちは本当に不幸だった。今は就活売り手市場だから、君たちは本当に幸せ者だ。」
この時は単純に就職氷河期の先輩方は本当に大変だったんだろうな、としか私は思いませんでした。
そして最近、某電機メーカーに勤めているゼミの先輩と話す機会がありました。その先輩とひょんなことから就活売り手市場の話になったのですが、先ほど話した教授とは正反対の意見だったので私は驚きました。
先輩「就活売り手市場は一般的に良いように言われるけど、現実は全く違うよね。就活売り手市場が良いのは最初だけ、つまりは内定をもらう時だけだと思う。」
私は当初はこの言葉の意味が理解できませんでした。それでも先輩は続けます。
先輩「確かに、就職氷河期に就活をした人は内定を取るのが大変だったと思う。けど、大変なのはその時だけ。総合的に判断すると、就職氷河期に就職した人の方が幸運だよ。」
先輩はその理由を以下の2つだと言いました。
1. 就職氷河期は採用人数が少ないので、同世代にライバルが少なく出世しやすい。
→逆に売り手市場の時はライバルが多い。
2. 会社の経営状態が悪くなると、売り手市場の時に入社した人は就職氷河期に入社した人よりリストラ候補にあがりやすい。
→逆に就職氷河期に入社した人は厳しい競争を勝ち抜いた優秀な人たちだからリストラ候補に挙がりづらい
私はこの2つの理由を聞いてから、確かに就活売り手市場の全てが良いわけではないように思えてきました。
では売り手市場で就職活動をする学生は一体どうすれば良いのでしょうか。
売り手市場の時代に就職活動に臨む学生は内定をもらえたとしても、入社後も日々努力し、能力を高めていく必要があるでしょう。
そして、なるべく早い段階で会社と交渉できるほどのスキルを身につけるべきです。
というのも、日本における新卒の就活は、会社があらかじめ待遇(給与や福利厚生など)を提示して募集を行い、選考で就活生の能力を見極め、採用の可否を決めますよね。
日本の大学を卒業した学生はビジネスで役に立つ即戦力のスキルを所持していないために、新卒の就職活動で待遇面の交渉をすることはほぼないですよね。
理系だとまた話は別ですが、文系の学生に限定すると、即戦力として活躍できるほどのスキルを持った学生はほとんどおらず、最初は会社が教育を行わなければならないからです。
当然ながら、待遇の交渉などできるわけがありません。
そのため入社してからの努力が重要であり、なるべく早い段階でスキルを身につけ、会社と対等に交渉できるような人材になれるように努めなければなりません。
今の時代終身雇用などほぼありえませんし、これからは転職も当たり前のことになっていくでしょう。
これから就職活動をする学生は「売り手市場」など気にせず、一生懸命就職活動に励み、入社後も自身のキャリアのためにもスキルを身につけていく必要があるということです。
(Photo credit: JSmith Photo via Visual hunt / CC BY-ND)