技術士試験を受験したので技術士についてご紹介します
11月24日(日)技術士試験(1次試験)があり受験をしました。
技術士の知名度向上を目指して、ご紹介をします。
技術士とは?
ITエンジニアの方でもあまり聞いたことがない資格だと思いますが、技術士は、「日本国内で最も権威のある技術分野の国家資格」です。
また、弁護士、弁理士、医師、公認会計士と並んで5大国家資格の1つです。
科学技術分野における高度な専門知識と実務能力を持つプロフェッショナルとして、技術士は技術的な課題解決や社会的貢献を行います。文部科学省が所管し、資格の認定は日本技術士会によって実施されます。
技術士は英名が「Professional Engineer」です。
このIT業界だと「エンジニア」というと「ITエンジニア」を思い浮かべがちですが、技術士は21の技術部門に分かれており、その中の一つが「情報工学部門」です。
ITエンジニアにとっては、この部門が特に関連性の高いものとなります。
なお、名称独占の国家資格のため、技術士の資格を持っていない人が技術士を名乗ると罰せられます。
情報処理技術者試験との対比
多くのITエンジニアにとって、情報処理技術者試験の方が身近な資格だと思います。
技術士と情報処理技術者試験には次のような違いがあります。
項目 | 技術士(情報工学部門) | 情報処理技術者試験 |
所管省庁 | 文部科学省 | 経済産業省 |
資格の目的 | 技術者としての総合的な技術力と倫理性の証明 | 特定のITスキルや知識の証明 |
試験範囲 | 幅広い技術力、課題解決力、マネジメント能力 | 技術分野ごとの特化した知識 |
試験形式 | 筆記試験、面接試験 | 筆記試験、CBT |
資格の取得難易度 | 高い(実務経験が必要) | 中程度(試験によるが) |
対象者 | 中堅からベテラン技術者 | 初心者から中堅エンジニア |
資格の特徴 | 国家資格、名称独占 | 国家試験、独占業務なし |
主な違いのポイント
- 実務経験の必要性
技術士では、試験を受ける前に実務経験(原則7年)が求められます。一方で、情報処理技術者試験は実務経験がなくても受験可能です。 - 社会的評価の違い
技術士は技術者としての総合力と倫理観が重視されますが、ITエンジニアの業界では評価以前に知名度が低いです。一方、情報処理技術者試験はスキルや知識の証明に特化しており、技術士よりも知名度が高く、就職やスキル評価で有用です。 - 試験内容の広さと深さ
技術士は専門知識だけでなく、技術者としての社会的責任や法律の知識も問われます。情報処理技術者試験は一部法令を扱う問題もありますが、より技術に特化しています。
一次試験の概要
一次試験は「基礎科目」「適正科目」「専門科目」の3つの試験があります。
3つの試験をいずれも50%以上正解すると一次試験合格となります。一次試験に合格すると、「技術士補」を名乗ることができます。
基礎科目
5つの分野から各6問出題され、3問を選択します。計15問を解くことになりますが、50%以上正解が必要なので、8問以上正解する必要があります。
ベテランITエンジニアだと5つの分野のうち、2つの分野(「設計・計画」と「情報・論理」)については満点(6点)を取ることが可能です。後述しますが、むしろ合格するためには確実に満点を取っておく必要があります。
残りの3つの分野についてはITエンジニアだと門外漢の内容なので、学生時代の専攻に左右されると思いますが、合格には残り9問のうち2問を解く必要があります。
適正科目
技術士法や各種規定の内容を理解しているか?の試験となります。
常識的な内容が多いので、技術士法の法令を読み、過去問を5年分程度解いておけば大丈夫だと思います。
専門科目
内容は応用情報技術者や高度情報処理技術者試験の午前問題と同じレベルです。
50%以上解ければよいので、ベテランITエンジニアだと問題なく合格できると思います。
なお、高度情報処理技術者試験に合格している場合は免除されます。
二次試験の概要
翌年の夏に筆記試験があり、秋に口頭試験がありますので、受験が終わったら詳細を書きたいと思います。
また、合格発表はさらにその次の年の春なので、技術士になるには足掛け3年必要になります。
技術士の取得メリット
前述のとおり、IT業界では情報処理技術者試験の方が知名度はありますし、その他のベンダ資格と比べて、技術士の取得メリットは少ないと思います。
技術士のメリットとしては、
- 「技術士」を名乗ることができる。
- 難易度が高いため、合格できたことに対して自己肯定感が高まる。
があります。
正直、実益はそれほどないので、まずは情報処理技術者試験をいくつか合格した後に取るのがよいと思います。
おわりに
技術士(情報工学部門)は、ITエンジニアにとって目指す価値のある資格です。
情報処理技術者試験で基礎を固めつつ、技術士資格を取得することで、より大きな可能性を切り開くことができます。
試験準備には時間と努力が必要ですが、その分得られる成果も大きいです。
この機会に、ぜひチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか?