「iPhoneから送信」の意図を考えてみる

みなさん既にご存知かと思います「iPhoneから送信」の文言ですが、これにはいったいどういった意図が込められているのでしょうか。

・iPhone使ってるんだぜ
・外出中だけどちゃんと仕事やってます

などなど、ネットを覗いてみると色々な意見があるようですね。

ただ、これって単なるiPhoneのデフォルトの署名ってだけで、送信者には意図がないように感じられます。

もちろん、多忙アピールでわざとこの署名を付けている営業マンがいる可能性もありますけど。

 

それでは、iPhone提供元であるアップル社の意図を考察してみましょう。

時はインターネットが世界中に普及し始めた時代にまで遡ります。
みなさんはWebメールを知ってますか?Webメールを使ってますか?おそらくほとんどの方はgmailアカウントを持っているでしょう。
その他にも例えばyahooメールなどのアカウントを持っている方も多いでしょう。今やWebメールは当たり前のように使われているものと言っても過言ではありません。

そんなWebメール、何が切っ掛けでこんなにも普及したのでしょうか。答えはとても簡単です。Hotmailによるバイラル・マーケティングが切っ掛けだったのです。(そもそもバイラル・マーケティングという言葉はHotmailの普及によって生まれた)
では、Hotmailは何をやったのでしょうか。どんなマーケティングをしたのでしょうか。この答えも簡単です。Hotmailからメールを送信すると、メールの下にこんな文言が自動で追加される仕組みだったのです。

「P.S. Hotmailで無料電子メールを入手しよう」

インターネットが普及し始めた当時、メールのキラーアプリなんてありませんでした。
インターネットにつながるだけでアドレナリンが分泌されていた当時のネットユーザにとって、この文言は「バズる」のに充分なポテンシャルを持っていたのです。

結果、Hotmailは18か月で1200万人以上のユーザを獲得できたと言われています。

さて、本題に戻ります。アップル社はなぜ「iPhoneから送信」という文言をデフォルトに設定しているのでしょうか。
iPhoneをバズらせたいから?それは違うと思います。既にiPhoneは有名ですからね。
私は、「iPhoneシェア率を下げたくない」という意図なんだと考えています。
Hotmailが台頭した時代では、キラーになるために無料で便利なサービスということをプッシュすることが有効でした。しかし、今の時代、無料で便利なだけではキラーになれません。使ってもらうためには「使われていること」が非常に重要なのです。無料通話アプリなんて沢山ありますが、日本でLINEがキラーである一番の理由は「みんな使っているから」に違いありません。すなわち、iPhoneユーザがまわりにいることを知らせる手法こそ「iPhoneから送信」なのです。ちなみに、ある一定以上のシェア率を目指すにはこの手法だけでは不十分であるため、シェア率を下げたくないという表現にしています。
バイラル・マーケティングという言葉は今や前時代的であり、バズ・マーケティングなどと言った言葉が主流になっております。バズ・スパイラルなんて言葉もありますね。言葉は変わっていくものなのですが、本質の部分はまったく変わっておりません。「口コミ」です。Hotmailでは「無料で便利なサービス」というユーザベネフィットを「口コミ」で伝搬させていました。アップル社が伝搬させたいユーザベネフィットは「あなたのまわりにiPhone使っている人いるんですよ」ってことなんだと思います。

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アップル社に確認したわけではありませんので、果たして今回の考察が正しいかどうかは定かではありません。しかしながら、友人からの何気ないメールの文末にこの文言があると、「お前もiPhoneか」と思ってしまうのでした。
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