「AI(人工知能)」は熟練技術者の代替になるのかな?

こんにちは。OISエンジニアです。
ここ最近のIT関連ニュースといったら、とにかくAI(人工知能)の記事が多いと感じています。
一昔前(といっても1~2年くらい前でしょうか)のAI関連の記事といえば
AIが奪う、人間の仕事ランキング
のようなものが多かったように思えます。
しかしながら、ここ最近のAI関連の記事はというと
閉ざされた自律系AIの急速な進化による脅威
のようなものが目立つようになってきていると思います。

確かに、これまで人間が作り出してきた道具というのはいずれも自律性が低く、「人間の判断」に基づいて動作するものばかりでした。
その点、AIは「AIの判断」に基づいて動作するわけで、且つ昨今流行りの「AIの判断」はブラックボックス化されているわけですから、人間のコントロールが利かなくなる恐れを感じずにはいられません。
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前置きはここまでにして、
AIは熟練技術者の代替になるのかどうか、自分なりに考えてみました。

▼熟練技術者ってどういう人?

私たちの仕事の現場では、リーダーであったりプログラマーであったり役割は様々なれど、とてつもなく活躍をする人たちがいるものです。こういう人たちのことを熟練技術者だとみなしてみて、熟練技術者ってどういう人なんだろう?と思い、お邪魔にならないようにちょっと観察してみました。
すると、以下のような特徴があることを発見しました。
 ・いわゆる典型的な作業は当然の如くこなす
 ・「そうでないコト」に気付き、重要視し、対応する
「そうでないコト」とは、普通に作業をしていては起こりえないような変化だったりします。
そもそも変化を捉えること自体、変化したこと自体に気付くのもすごいこと(常にアンテナ張ってないとできないこと)なのですが、その変化を重要視して対応してしまうのです。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、医療ミスで言うところの「見落とし」に該当するようなものかなと思います。
熟練技術者と勝手にみなされた人たちは、「見落とし」に細心の注意を払い、先手先手で対応していっているようなのです。
一概に言えるわけではないでしょうけれど、このようなことは熟練技術者の属性の一つとして挙げてもおかしくはないかな、と思います。

▼AIで熟練技術者を代替できる?

さて、ついに本記事の本題です。
前提として、深層学習(Deep Learning)により高精度な判断が可能となったAIを用いることにします。
高精度な、という表現については諸々見解があるかと思いますが、「精度よく多種多量に集められた正解データを覚えこませた」と解釈いただければ大きな齟齬はないかなと思います。
このAIを用いることによって、「いわゆる典型的な作業は当然の如くこなす」ことが十分に可能であることは自明だと思います。
よろしいですよね。
それでは「そうでないコトに気付き、重要視し、対応する」ことが果たして可能になるかどうか。
この高精度なAIに対してイレギュラーケースを想定した(つまり見落としに注意を払うような)教師データを学習させてみたところ、、、イレギュラーケースを重要視するような振る舞いはしませんでした!
「典型的な作業をこなす」ことと「そうでないコトに気付き・・・」は、AIにとっては矛盾しているということだったのかもしれません。
もしこれら2つの事象に何かしら矛盾がある場合、結果としては、一つのAIでは熟練技術を代替できない、と推察できます。

▼まとめてみる

ということで、今後のAIの進化によっては色々と変わっていくかもしれませんが、現時点でのAIでは「熟練技術者の代替」にはなりえないように感じます。
また、現時点でのAIの得意分野はあくまで「典型的な作業をこなす」ことだとも言えます。
熟練技術者のような矛盾とも捉えられる事象をこなすためには、複数の役割を持ったAIを作るのではなく、各役割に従事するAIを複数もつことが解決の方向性の一つかもしれません。
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◇◆◇◆◇◆◇◆
「2020年、AIは正味の新規職業を生み出す明確な要素となる。AIによって消える仕事が180万件であるのに対して、230万件が創出される。」
このステートメントは、米Gartnerによる予測レポート「Gartner Predicts 2018」で明言されているものです。
2013年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らが以下の代表的ステートメントを含む分析結果を公表して世間を騒がせたわけですが、米Gartnerのものと比較すると「奪われる仕事」しか語っていないだけにすぎない、ということが今になって理解できるようになりました。
「10~20年後、米国の雇用者のうち47%の人が行っている仕事が機械によって代替される。」
実際のところ、人類が発明・経験してきた様々なシンギュラリティによって無くなる仕事もあれば生まれる仕事もありました。例えば蒸気機関の発明によって交通システムが一変したわけですが、大量の失業者が出たわけではなく多くの新たな仕事が生まれ、経済が活発になり、雇用総数が増えたわけです。
米Gartnerの言わんとすることがわかるような気がします。

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