ITあるあるシリーズ その2 『クラウド』

ITのトレンドに関する「あるある」をブログに書いていきたいと思います。
第二弾は「クラウド」です。


もはやクラウドはSIビジネスの前提です。
クラウド利用する/しないの議論ではなく、どのクラウド、どのサービスを利用するかという議論から始まります。
クラウドを利用することは当たり前になってきています。
そんななか、ユーザ企業から「どのクラウドサービスを使えばよいかよくわからない」という声はよく聞かれます。
さらに残念ながらエンジニアについても、いまだにクラウドに対する正しい知見を持たない方が少なからずいます。
クラウドを正しく理解するためにも、主にエンジニアが抱いているクラウドに対する誤解のあるあるをいくつかあげてみたいと思います。
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■自分たちのやることは変わらない

ある意味正しいです。
下請け開発などでシステムアーキテクチャがすでに決定されていて、仕様どおりにプログラムを作成することが要求される場合、これまでどおりのやり方での開発が可能です。
エンジニアは違和感なく作業できるでしょう。
オンプレミスで構築していたシステムを仮想環境のクラウド上(多くの場合はIaaS(Infrastructure as a Service))に構築するだけです。
クラウドになろうが自分たちがやることは変わらないじゃないか、という主張が当てはまるケースも存在します。
ただ、クラウドのメリットを最大限に引き出すには「クラウドネイティブ」なアーキテクチャでシステム構築する必要があります。
PaaS(Platform as a Service)やFaaS(Function as a Service) を駆使し、構築や運用管理の負担軽減を目指すべきです。
そうしなければクラウドにシステム構築する意味を見出せません。
そうすれば設計手法や実装方法など、オンプレミスの開発とはおのずと変わってきます。
クラウドにシステム構築するのに、これまでどおりの開発手法や実装方法を採用しているということは、クラウドのメリットを引き出せていない可能性が高いということになります。

■セキュリティが不安で使えない

クラウドサービスはインターネットを介して利用することが多く、情報システムを内部のネットワークに閉じ込めておくことができなくなりました。
また、IoTの時代では自分たちの管理が及ばないネットワークへ接続することもあり、もはやファイヤーウォールで守るということができません。
ファイヤーウォールにこだわり、さまざまなクラウドサービスを利用しない選択もありますが、自由に使いたいサービスを利用できないデメリットとのトレードオフを考える必要があると思います。通常の企業活動において、セキュリティが不安だからクラウドサービスを利用しないという選択はなしだと思っています。
これからのセキュリティ対策は、ファイヤーウォールに代表される「境界防衛」から、サービス、ユーザ、デバイスの信頼を維持する「信頼保証」にシフトしていく必要があります。
Active Directoryのような認証基盤を使用したり、データ暗号化を実装したりする必要が出てきます。
これまでよりも高度なスキルを持つ人材やツールを備える必要がありますが、これを自前で調達するのは大変なことです。
だったらそういったセキュリティ対策をクラウドにアウトソーシングしたほうが現実的ではないでしょうか。
クラウドベンダがセキュリティ対策を重視しないわけがありません。
高度なセキュリティ対策がされた基盤に、高度なスキルを備えたセキュリティの専門家が24時間365日体制で監視対応してくれます。
自前でやるよりよっぽど安全だと思います。

■コスト・メリットは期待できない

既存システムのシステム構成を変えずにそのままクラウドに移行しても、コスト削減は難しいでしょう。
逆にコストが増えたり、運用が煩雑になったりすることもあります。
ただ、スケールが容易というクラウドのメリットがあるように、システムの利用状況に応じてCPUコア数やメモリを増やしたり、減らしたりできます(スケールアップ/スケールダウン)。
夜間はシステムを停止させておけば費用は発生しません。
そういった工夫である程度費用の削減は可能でしょう。
さらに、サーバーレスアーキテクチャを駆使すれば、費用が画期的に安くなることもあります。
メンテナンスも容易となり、コスト以外のメリットも受けられるでしょう。このようにクラウドの特性を活かした使い方をすれば、費用削減の可能性は十分にあります。
クラウドに新規でシステムを構築する場合は積極的にクラウドネイティブなアーキテクチャを採用するべきでしょう。
また、既存システムのクラウド移行についても、システムを仮想化し、クラウド(IaaS)にそのまま載せ替える前に、クラウドの特性を活かしたシステム構築ができないかを検討すべきです。
「Lift and Shift」の考えのもと、まずは「Lift」でそのまま移行という考えもありますが、個人的にはいきなり「Shift」でもいけるケースはたくさんあると思っています。
実際の現場ではいろいろな事情があることは承知していますが、クラウドネイティブなアーキテクチャをまず考えることが大切だと思います。

クラウドをお客さまに提案することは、ITベンダにとってはこれまでの工数が稼げなくなることになります。
だからと言って誤解を正そうとせず、誤解を押し通してこれまでのやり方に固執し、お客さまのメリットが出ないような提案ばかりを続けていると、やがてお客さまから見捨てられてしまうかもしれません。
むしろ、積極的にクラウドへの移行を推し進め、お客さまの新たなビジネスのシナリオを描くことのお手伝いをいこうと思っています。

参考:『Cloud First Architecture 設計ガイド』
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https://eb.store.nikkei.com/asp/ShowItemDetailStart.do?itemId=D2-00255520B0

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