ITあるあるシリーズ その1 IoT (Internet of Things)

ITのトレンドに関する「あるある」をブログに書いていきたいと思います。
(なぜ今更「あるある」やねん! というツッコミはいったん無しでお願いします)
——————————
先日、東京ビッグサイトで開催されたスマート工場EXPOに行ってきました。
目的は、製造業のお客さまへの最適な提案のための最新動向の把握と情報収集です。
ITのイベントでも同様の製造業向けソリューションがこれまで多数展示されており、正直目新しい情報は特に見つけられませんでした。
それだけスマート工場のソリューションが成熟期に入ったと言えるかもしれません。

スマート工場の構築にはIoTの仕組みを導入することが必須となります。
Speed is Money !」と言われるように、IoTシステム導入において、やはりスピードが重要です。
どの情報を収集して見える化すると効果が大きいか、やってみないとわからないところも多く、とにかくやってみて効果があるかどうかを早く判断できることが成功への第一歩となることでしょう。
すばやく展開して効果があるかどうかを試すことを概念実証:PoC (Proof of  Concept) と呼びます。
当然ですがその開発手法はウォーターフォールでなくアジャイルとなります。
今回スマート工場EXPOへ行って、改めてIoTについて考えてみるいい機会だと思いましたので、IoTシステムの「あるある」を私なりに考えてみました。

■そもそもIoTでない

IoTシステムと似ていて先行して導入されたものにM2M(Machine to Machine)があります。
M2Mと比較したIoTシステムの特徴は以下の5つに集約されるそうです。

①1つの”系”で完結しない
②現場側へのフィードバック、制御
③自動処理、アナログのデジタル化、示唆の発見。最適化
④第3のプラットフォーム(モバイル、クラウド、ソーシャル、アナリティクス)を中心に構築
⑤エッジ(ローカル)側インテリジェンスとの連携処理

現在「IoT」と称して取り組んでいる多くのプロジェクトが実はM2Mということがあります。
M2Mシステムがダメとは言いませんが、現場へフィードバックがなく、効果・成果が限定的なため、やるならIoTプロジェクトとして取り組んでいったほうがよいでしょう。

■目的がはっきりしていない

世の中でIoTが流行しているからIoTをやってみよう、他社がIoTに取り組んでいるからうちもやってみよう、経営者がIoTをやれというからやってみよう、的なノリでIoTプロジェクトに取り組んでいる組織が多いようです。
「どの現場で」「どのような課題に対して」「どのような効果を出すか」を明確にすることが重要です。
例えば「生産性30%向上」や「製造コスト20%削減」といった数値目標を掲げてみるのもよいでしょう。
いずれにせよ、「IoTで何をやるのか」という目的意識をもって活動していくことが大事です。
「うちもIoTをできないか?」といった感じでスタートしたプロジェクトは残念ながらうまく成果が出せていないようです。

■PoCで終わってしまう

日本のIoTプロジェクトのおよそ93%が、実用化できずにPoCで終わっているそうです。
効果が期待できる/できないをお試しでやって検証するのがPoCの目的なので、実用化に至らないこと自体は悪いことではありません。
ただ、PoCの結果、実用化に値すると判断された取り組みをどの部門が担うかが決まらなかったり、予算確保できなかったりで、宙に浮いてしまうケースも多いようです。

■だんだん飽きてしまう

導入当初は見える化が進み、ネック工程の改善などによりすぐに効果が出やすいです。現場の作業者や担当者も高い興味を示してくれます。
しかし安定運用のフェーズになるとイレギュラーなイベント以外は変化が少なく、新しい課題点が発見しづらくなります。
結果、作業者や担当者の興味が離れていき、あっても無くてもいいシステムになってしまいます。
そうならないためにも、新しいテーマにチャレンジできる拡張性が重要になるでしょう。

■なんでも「作ろう」とする

SEやプログラマに多く見られる傾向ですが、まずなんでも「作る」を前提でアーキテクチャを検討してしまいます。
「作る」とは、一からコーディングすることです。
早さが要求されるプロジェクトでは、まずは作らないで済む(コードを一行も書かずに済む)方法を検討するほうが得策です。
作るのではなく、すでにサービス提供されているクラウドなどのシステムを「探す」ことや、それらを「組み合わせる」ことを重視し、スピーディに展開していくことが大切です。
その結果、作るが必要な部分も発生することもありますが、なるべくコーディングが最小限となるようにしましょう。
そのためには、各社が提供する最新のサービスの情報収集は必須ですし、新サービスを適用できることはないか常に探る必要があるでしょう。

■すべてを自社でやり切ろうとする

技術面の話をすると、IoTは総体的な取り組みです。
センサ・デバイス、ネットワーク、クラウド、ビッグデータ、アプリケーション、セキュリティなど守備範囲が広く、すべてのレイヤー・フェーズが得意なプレイヤーはいないというのが一般的な見解です。
自社だけでやり切ろうとする会社も多いと聞きます。
現実的には、自社だけでやり切るのはほぼ不可能と言っていいでしょう。
そうなると他社との提携が必要となりますが、他業種他業界のことはよくわからず、どこと組んだらよいかわからないなんてことも多いようです。
日頃からIoTコンソーシアムや勉強会等に参加してアンテナを張っておき、各業界で強みを持つベンダーと面識を持っておくことも重要なことだと思います。
以上、IoTシステムの「あるある」でした。考えたらもっと出てくると思います。

現在私もIoTプロジェクトに従事していますが、試行錯誤の連続です。
当然ながら要件定義はできません、つまり、仕様がないところからスタートしなければなりません。
他社の事例を参考にしつつPoCを進めています。
最近では少し「仕様がない」面白さがわかってきたような気がします。

さいごに・・・

■(日本における)IoTシステムがうまくいかない三大要素

①縦割り組織
②旗振り役が不在
③予算確保が困難
IoTの技術要素はほぼ出そろっているので、技術的にはIoTシステムを構築することはできます。
しかし、技術だけで導入できるわけではないというところがIoTシステムの難しいところだと実感しています。

参考:『IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書』
itaruaru03
http://www.sbcr.jp/products/4797392432.html

ホームページ http://www.ois-yokohama.co.jp

facebook   https://www.facebook.com/orientalinformationservice/

#あるある #スマート工場EXPO #IoT #PoC #アジャイル